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「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 」は逆・桐島、部活やめるってよ。である

ここ数年、風前の灯であった火がネット上でじわじわとその勢いを増している。

 

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」

 

略して「わたモテ」

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待って欲しい!

 

分かる。私も同じように一瞥をくれて二度と会うことのない有象無象の1つだと、そう思っていた。

 

しかしこれは様々な”自分”を露わにし、救済し、そして”世界”へと上がっていく

 

ポジティブな「桐島、部活やめるってよ」なのだ。

 

このタイトルで?このキャラクターで?キモオタ向けでしょ?

 

確かにそういった側面も否めないが、それでものめり込んで、涙し、深い。

 

そんな「わたモテ」の魅力を稚拙ながら紹介していこうと思う。

 

 

 

 第一印象

「わたモテ」を知ったのは確かアニメ化した際、まだ学生だったかどうか。

 

未だにそのくだらない姿勢を払拭しきれていないのが恥ずかしいばかりだが、当時は「はいはい、痛いオタクあるある漫画ね」と歯牙にもかけず。むしろ気持ち悪いと思ったほど。

 

だってこれだもの

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アニメを見ることもなく、広告やSNS上で見かけた印象だけでまったく興味はなかった。

 

しかしそんな中、どこかのまとめサイトで掲載されていたキャプチャを見ると、イメージとは随分と違っていた。

 

最初は友達のいない陰キャオタクだったのが、どうも途中から路線変更で周囲に友達が溢れてきているらしい...と。

 

 

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読み始めてから

そこから徐々に気になり始め、既刊17巻の8巻あたりから主人公の黒木智子は徐々に友達ができ始めると知り、そこから読み始めてた。

 

(こともあろうに途中から!?という古参ファンには許して欲しい。あの島本和彦先生だって「あしたのジョー」を1巻からではなく2巻から読んだのだから!)

 

 

当然絵の”上手く無さ”は非常に取っつきにくくも、過去作を調べ、ある程度崩して描いてることを知り抵抗感はなくなり、

 

端的に言えば 面白かった!!

 

 

”端的に”というのもあくまでその面白さは、系譜を大きく分けると「けいおん!」以降からなる

 

”女子高校生の日常もの”というジャンル。さらに”百合モノ”と言われるホモソーシャル的な要素を含んだものであるからだ.........

 

しかしその判断基準は紙一重に間違っていることに、読み進めるごとに気づいていく。

 

 

 

漫画的漫画とは

昨今...という言い方は非常に短絡的だが、所謂セリフで全てを説明する作品は多い。

 

例えば「アルテ」という16世紀の女画家を主人公ととした漫画の中で、弟子を取ろうとしない男画家が、主人公のひた向きさを過去の自分と重ねる。というシーンがあり、

 

主人公の後ろに過去の自分が重なっている画がありながら

「こいつ、昔の俺と同じだ...」というセリフをモノローグとして書いてしまう。

 

つまり描き手及び編集が自分の画と読者を信用していないということだ。

私はこういった姿勢が非常に嫌いだ。

 

 

 

しかし「わたモテ」にはセリフではなく、目や間を描いたコマで多くの心理を語るところに引き込まれた。

 

エレメントとしてのオタク要素やギャグの中に心理描写が強く含まれており、

読み幅が多く、関係性が構築されていく毎にキャラクターたちの感情も複雑さを増していくため

 

”読み物としての漫画”という側面が「わたモテ」の大きな魅力の一つ。

 

  もちろんそれ以外にも視点の誘導や、上手から下手の意識、「陰キャ」という言葉と呼応して使われる影の描写なども、非常に漫画的で読みやすく、気が利いてる。

 

 またある程度登場人物が出揃ってからは当然個々の掘り下げも行われ、毎話毎話の必要カロリーが増していくため、一話読む毎に疲れることも多々....

 

日常系派生としての終着点

前述したけいおん!がただの日常萌えアニメで終わらなかったのは明確な

 

”卒業という青春の終わり”

 

そしてどうしても残していってしまう後輩との別れによるところなのは周知の事実。

 

最終話付近までげんなりしながら倍速で見ていた私も嗚咽するほど泣いた

 

しかし原作漫画では大学生編と続編で「終わってねーじゃん!」と落胆する人も少なくはなかった。

 

そこで「わたモテ」も同様にゴール地点には卒業というものが用意されている。

 

1年生では、自分を気遣ってくれた2年生の送辞の涙を見て「自分は涙できないだろう」と、1人ぼっちの卒業生を見て自分を顧みる。

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2年生ではほんの少し友達ができるも「きっと今卒業すれば、ほんの少しプラスの感情で高校生活を終えられる」と言い、前回は口パクだった仰げば尊しを歌う。

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こうして”涙しない” ”卒業したい”というお膳立てを積み重ねている。

 

つまり裏を返せば1人ぼっちだった黒木智子は”泣き” ”卒業したくない”卒業式が

待っていることになる。

 

最新話時点での黒木智子には人が集まり、慕う後輩もいる。

 

ここまで伏線を張られて泣かないわけがない。というか既に想像して泣いている。

(ここでチャットモンチー「サラバ青春」をお聴きください)

 

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けいおん!から粗製乱造で生まれ、様々な業界が疲弊させてきた忌み子達の中、

成長・別れ・群像劇と最も王道でありながら、それを巧みに昇華させた完成系と言って過言ではない。(まだ完結してないけど)

 

後年はジャンル漫画の中における天元に打たれた碁石のような存在になっていくだろう。

 

 

 

 逆・桐島、部活やめるってよ

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 「桐島」は桐島という生徒が突如学校に来なくなったことにより、それまで表層的であった友達関係が崩壊、連鎖し、学校というものに集約された社会や世界の中、

 

実存的な悩みに迷う者と揺らがぬ者の物語だった。

 

 「わたモテ」8巻以降は、勘違い・すれ違いがキッカケとはいえ、孤独な主人公に友達が増え、周囲から高い評価を受ける。

 

そういった過程の中で、クラスメイト達の表層的な繋がりや、個人の獲得など、

多くの成長があくまでどれもギャグの範疇に落とし込まれながら、これ見よがしでなく描かれる。

 

 空虚だったはずの主人公が、世界に入っていく過程で、様々な人々がしがらみから解放されていく。

 

まさに「逆・桐島、部活やめるってよ」と言って遜色ない。

 

つまり傑作!!

 

 

最後に

この漫画にハマり始め、専用のTwitterアカウントを作って分かったのが、

この手のジャンルにしては海外からの熱狂的なファンの可視化度が比較的に多いように感じました。

 

アニメ化に際しどうやら4chanで流行ったらしく、ネット上で毎話無料更新というのも手伝って人気が継続している様子。

 

さらにこの漫画、アニメ化で本来爆発的に増えるはずの単行本売り上げは何故か下がり、そこを転機に路線変更がなされ今再び人気が爆発しているなど紆余曲折??

 

そんなアングラで広く人気を高めているカルト漫画としての「わたモテ」

 

キャラクター個々の掘り下げや、ここのコマの意味するものは?など細部を上げていけばキリがないため、

 

公式サイトや、スマホタブレットなどで配信されている

というアプリから最低でも毎日一話読めるので!

www.ganganonline.com

 

面白さが明確になっていく8巻から読んでも良し

 

1話からしっかりと積み重ねていくもよし

 

(私は8巻から10数巻まで読んで、そこから初めて1巻から7巻を読むという邪道でも最高に面白かったです)

 

 

 

とにかく今進撃の巨人と双璧を成す傑作漫画なので

 

ぜひ読んで!!

 

 

お願い!!!!