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Netflix限定アニメ「The Midnight Gospel」 これはアニメなのかそれとも...

アドベンチャータイムの原作、監督、絵コンテ、演出、キャラクターデザイン、録音監督、OP作詞作曲・歌唱

 

を務めたペンデルトン・ウォードが送る新作アニメ

「The Midnight Gospel」 全8話

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少年の見た目をした40代の主人公が、多元宇宙もしくは仮想世界にダイブしてその世界に住む生き物にインタビューをし、それをポッドキャストで配信する。というもの

 

面白い設定だが、これは今までになく、そしてこれから生まれることのないただ一度きりの実験的”導入剤”だ。

 

 

今回注意すべきなのは、視覚的に入ってくる情報と耳から入ってくる情報は決してシンクロせず、アニメーションを見れば言葉が飲み込めず、言葉を飲み込めばアニメーションを見逃してしまう。

 

 

というのは主人公の声優であり本物のポッドキャスターのダンカン・トラッセルが

 

現実に実在する薬物中毒に詳しい内科医、チベット仏教徒、元死刑囚など日本人には一切馴染みのない”その筋の専門家”にインタビューをするというものだからだ。

 

 

 

 

話の内容も非常に哲学的であり、ある程度の東洋思想や哲学リテラシーというものを要求されるため、理解するには高い集中力と好奇心が必要とされる。

 

ここである程度の例を挙げていきたいのは山々ではあるが、筆者もまた直感的な理解のみに留まっており、言語化には時間がかかるので割愛するが

 

実存や愛、生と死、悟りなどのテーマなど、普遍的で自身が小学校の頃から抱いていた漠然とした世界への疑問を一緒に考え、どうしていくと楽なのか。という話が主である。

 

 

そして詳しくはネタバレになるため伏せておくが、最終話ではこれまでとは一味違う

ゲストと共に語られるテーマは万人に共通する、逃れえない一つの結末。

 

これに関しては哲学でもなければ悟りでもなく、ただただ向き合うだけで良く、今こうして書いているだけでも涙が溢れだすような内容となっている。

 

 

 

 

ここまで読むと難しい内容で、抵抗感が強まるだろうが、アニメーションが非常に会話らしく、色彩豊かでありながら一種幻覚的な美しさと造形のオシャレさで見ていて飽きない。

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そして話と繋がっていないように見えて、ずっと見ていれば最後に語られてきたことと次第にシンクロしていることに気づき、飲み込むには時間のかかるテーマを見事にアニメーションを楽しみながら噛み砕くことができるよう意図されており、

 

アドベンチャータイムでも時折哲学的であったり、口をあんぐりと開けたまま終わるような話があったが、今回はその延長線上であり、あくまでもエンターテイメントとして成立するようにもなっている。

 

 

 

 

 

これまでの100年、アニメという娯楽はそれを通して様々なテーマを描いてきた

 

しかし、このミッドナイトゴスペルにおいては

 

哲学を通して、アニメという娯楽を描く。という逆説的な手法を取っている。

 

 

 

なぜ自分がいるのか、死という不可知を前にどう心構えをするのか。

 

そんな誰にだって必ず来る疑問と恐怖のため、ミッドナイトゴスペルを見るのは如何でしょうか。