アイカツ! この頬を伝うのは....
あれは確かニール・セダカの「Calendar Girl」を聴こうとYoutubeで検索したときだった
カタカナで「カレンダーガール」と検索するとトップにはアニメのサムネイルの動画が。
興味本位で再生してみると、これが驚き!びっくりするほどキャッチ―な曲。
詳細を調べると「アイカツ!」という女児向け販促アニメのテーマ曲らしい。
こんなにいい曲なら中身はどうなんだろう...とはいえ販促アニメの4クール以上もある、それも女児向けアニメだから自分とは合わないだろう。そう思いながらもなんだかんだ1話を見た。
「まぁまぁ、歌ってるキャラクターの雰囲気は掴んだし、もういいや」
とすぐさま視聴をやめて1年。
「カレンダーガール」を何度も聞いていると、心の中で誰かが「未だ続いている人気シリーズ、調査の為に見るのもいいのでは」と囁く。
そこで
「アイカツ!」S1の50話中、人気が高いとされている約20話分(販促シーンを飛ばして)1.7倍速で駆け抜けた。
というのも、流石に女児向けのアニメのテンポやノリを20代男性、好きな映画はノーカントリーというような層に向けて作ってるわけでもないからだ。ここは容赦して頂きたい。
別段、人間ドラマや作画に注目できるわけでもない。そんなものは高畑、富野アニメに任せておけばいい。
しかしどういうわけだ。最終回に近づく度、いつの間にか通常速度でテレビ画面を前にまんじりともせず見ていた。
それどころかS1最終回、主人公がアメリカ行きを決意し最後のライブで流れるのが初期ED「カレンダーガール」
本来であれば販促シーンとしてAパートで終わるものの、Bパートへそのまま続き
学園を出て空港へと急ぐ主人公と付き添う親友二人。
しかしその中でこれまでの回想の中、次第に涙ぐむ親友
そこで聴き馴染んだ歌詞
「何てコトない毎日がトクベツになるかけがえないの、オトナはそう言うけれど、いまいちピンとこないよ」
「思い出は未来の中に、探しに行くよ約束。いつもの景色が変わってく。楽しい予感があふれてるね」
ところどころの歌詞が異化効果的に反作用しながらもシンクロする演出に
「そうかこれは親友視点の”送り出す曲”でもあったのか!!」という新しい層が合わさって思わず目頭が熱くなる。
さらにこの曲が流れ始めてから台詞は一切排され、情緒的に学校から空港までの道中が描かれるため、より親友の気持ちに入り込んで曲のエモーショナルと感情が高まって高まって、曲のフィナーレと共に親友の涙が溢れてしまう。
また親友二人のうち、アイドルになるきっかけであり最初から一緒にいた子と、途中から友達になった子との悲しさの度合いが距離と涙でしっかりと分けられていて、全員がとりあえず泣くのではない一定のリアリティラインによってさらに没入できる。
上手い!
もしもこれをリアルタイムで1年間見ていればテレビの前の良い子は、この別れが原初的な物として深く心に刻まれるだろう。
今後聴いていく「カレンダーガール」がより良いものになり、約3時間ほどかけて「アイカツ!」のことも理解できて非常に価値ある投資だった。
きっと見るよう背中を押したのはがいいと囁いたのは、彼だったのだろう....
ありがとうニール・セダカ!!!
......えっ、主人公すぐに帰ってくるの.....?