「天気の子」ネタバレあり 新海誠の新劇場版:破
新海誠の最新作「天気の子」見てきた
まず前置きとして、個人的に新海誠作品は「君の名は」以外全部嫌いで
文章だからまだ大丈夫だった村上春樹イズムを声に出されるのが本当に苦手で
さらにそこに90’sウジウジ系譜が重なって
「秒速五センチメートル」とか電車止まってんなら走れよ!とか
「言の葉の庭」のマンションから飛び出すシーンも大爆笑だし
「君の名は」で三葉が恋してるのは瀧くんじゃなくて東京だしで
とにかく新海誠は、宮崎駿とか富野由悠季、庵野秀明的な鬱屈した破壊衝動とか自己矛盾がねーじゃん!知らねーよそんな満たされた奴の話なんて!
と思ってましたよ
しかし!
今回の「天気の子」は、まるでこれまでの自分の過去作への自戒というかアンサーになっていて
惚れた女のためなら傷だらけになって、法は犯すし、国家権力にだって歯向かう
大好きな東京だって犠牲にできる
あの今までずっと好き好き言ってた東京を!犠牲にできるんだよ!
今まで記号的だったサブキャラクターもしっかりと魂があったて主人公の対比や鏡像関係も盛り込み、バイクチェイスといったアクションまで入れ込んでいる
また、これまで【綺麗】で止まっていた画が【カッコイイ】に変化していて
それでいてポニョと似たテーマを持つことへの配慮して、おかっぱ刈り上げの少年に「サカナ!」と言わせるような目配せも怠っていない
「君の名は」で映画的な演出を初めてしているのを見て「できんじゃん!」と思ったが
今回は「御見逸れしました監督」ぐらいには好きになった、なってしまった
もちろんこれは偏に川村元気さんの手綱さばきの賜物ではあるとは思いますが
これまで人気を得ていた要素を少しずつ削っていって、最後には失ってしまっても
全部かなぐり捨てて他を犠牲にしてでも好きだったものを取り戻す
まさに天野陽菜というキャラクターは新海誠の作家性といえるのではないでしょうか