「ケムリクサ」完全なコントロールの先にある完成された作品。そして新たなアニメの在り方
プチブームとなった「けものフレンズ」
「ケムリクサ」
終わりましたね
「わかば.....好きだ」
最高かよ
ここで先に恥を曝すようですが
1話の放送当時、見てはみたものの、キャラクターの時代錯誤なキャラクター付けや絵面の自主制作感がなかなかに辛く『あの監督だし面白いんだろうけどストーリーを終わってから追うのでいいか』
などと思ったことをここに謝罪します
キャラクターへの苛立ちや、絵面。すべてはこの「ケムリクサ」が面白くなるためには必要でした
11話放送終了から急いで追いかけたため、考察や発見などはすべてネットの考察班の方々のおかげでやっと気づいた程度の【にわか】ですが、あえて総括するならば
たつき監督は『ゴジラ(1954)』の本多猪四郎監督の再来になり得る
というのは本多猪四郎監督は全てを自分でコントロールする監督として海外でカルト的な知名度を誇っており「作家性」という概念が最も強い監督の内の一人です
(本多猪四郎監督がいかにゴジラという作品をコントロールしていたのかはこちらの動画を参照ください)
この一件を踏まえて「ケムリクサ」を見ればわかる通り
これは彼と、彼の作品の話であったことは明白です
つまり本多猪四郎や宮崎駿のような心に大きく抱えた闇や傷といったものを一つの作家そのものの作品として見事昇華させ、それがヒットしているわけです
ここまで前置きをしておいてなんですが
ここからは全て仮定と憶測による話ですので
幼子の感想文を読むつもりでお願いします。
まず前作の「けものフレンズ」の製作費は通常のアニメ1クールの予算の半分という噂が広まっていますが
そうだとして、さすがに一度当てたため少しは予算が増えているであろうという皮算用の元で2億~1億8千万ほど?
ではこれだけの大当たりを続けた場合、次は比較的ビッグバジェットで制作する土壌が用意されてもおかしくはない
画は綺麗になって、もっと迫力のあるアクションが....
しかしそうなった場合、少数での制作から大勢の人手が必要になり、たつき監督の手は次第に届かなくなるでしょう
あのクオリティ、あの制作規模だからこその細やかな伏線、徹頭徹尾配された謎とその展開なのではないでしょうか
そして今アニメをあと一歩で息の根を止めようとしている悪名高い「制作委員会方式」ではなく取らず、制作会社ヤオヨロズのプロデューサーが考案したパートナーシップ制度を元に出資を募り制作しているため、利益配分は十分にできています
詳しい記事はこちらに
つまり、たつき監督のあの作品と絵面のクオリティを両立するのは難しいのではないでしょうか
ここで大きいのは決して映画や漫画とは違い、アニメは作家の個人作品になりえないということです
映画や漫画は自ら監督、主演、撮影、編集をすることはできますが、アニメではほとんど不可能と言ってもいいでしょう(新海誠という一例は除いて)
しかしそれに限りなく近いことをたつき監督は「けものフレンズ」でやってみせ、恐らく「ケムリクサ」もある程度は個人でのコントロールをしていてもおかしくはありません
(もちろんスターウォーズのように、すべてがジョージ・ルーカスに還元されるというようなことではなく、様々なファクターがあるとは思います)
つまりこの作品はアニメでありながら漫画の水準までトータルコントロールをした作品であり
直近ではアニメの絵面を完全に漫画化することに成功した「スパイダーマン:スパイダーバース」という作品がありましたね
この短期間に新たなアニメーションの在り方が連なる様にして生まれ、そのどちらもが一見奇をてらったディストピア、お祭りといったところからフックを作り王道で締めくくる
所謂「いつもの最高のヒット作」として成功を収めています
最終的に何が言いたいのかって
今後たつき監督がどういったスタンスで新作を作るのかが非常に目が離せません
そして
たつき監督ありがとう