GET OUTを見て
黒人男性と白人女性のカップルが女側の家族に会わせたい、ということで人里離れた屋敷へ向かう....
と大体話の流れはあらすじから分かってしまうホラー映画
しかしこれを良作たらしめる要素は笑いと時節柄である
それをどちらも一人のキャラクターによって成されていて素晴らしい
というのもロッドという主人公の親友である運輸保安省の職に就いている黒人
彼がわかりやすいコメディリリーフとなって、ほとんどが電話越しで主人公に冗談交じりに主人公へ警告し続ける
ホラー好きには緊張感を解いてしまうと言われてしまいそうだが、見ている間常に泣きそうになっている自分としては電話越しの彼が温かく縋りつくような存在だ
通報すればいいのに、というツッコミを消すためのシークエンスでは
主人公から連絡が途切れ、ロッドは警察に助けを求めるが「ダチが白人ババアの性奴隷にされてる」という言い方ゆえに笑いものにされるシーンをわざわざコメディタッチで....それも数分間に亘ってだ
主人公は何とか助かり屋敷から逃げ出すが、自身を騙していた白人の彼女の首を絞め殺そうとするところに警官が
「これは人種題材だから白人警官が着て主人公が逮捕されるのでは....勘弁してよ」
そう絶望しかけると
そう、ロッドが助けに来てくれた
主人公ではなく自分を助けてくれたのだ
これは本来であれば白人警官で逮捕され啓蒙を促すBADエンドだったが、時節柄あえてこういったハッピーエンドにしたという
この映画の特殊な面は黒人を劣等種としての視点ではなく、身体的優位性ゆえに黒人を捉えている
これは紛れもない差別だ
ホラーであり最高のハッピーエンドを迎えながらもこの作品が根底に持っているカーブの効いた問題提起は視聴後もしっかりと残り続けている