1917 ワンカットの良さ最大限
アカデミー撮影、録音、視覚効果の三部門受賞の「1917」を見た
とにかくワンカットワンカットと話題を呼んでいる今作。
「じゃあ、そのワンカットのなにがいいんだ。結局デジタルで繋げてるだけじゃない。」
ならば教えましょう。
第一次世界大戦の西部戦線においてドイツ軍の撤退を知り、部隊を進行させるがそれは罠であり、二人の若きイギリス兵を伝令に向かわせる。という話。
大体の戦争映画って今まで、その緊張感故に中弛みが多く、興味の持続が続かないことが大半。
しかしここがワンカットの良さであり、この映画の肝であった。
というのも登場人物は最小限で抑えられ、ワンカットで追従していく様は、
まるで見ている自分を含めた三人で、前線へと伝令を任せられたかのよう。
そう、他人事ではなく自分のことのように感じられて一定の緊張感と悲惨さに追われながら向かう様に、気が抜けない。
常に自分も死と隣り合わせであると思わされる没入感は、他のワンカット映画とは一線を画す点だろう。
そして見終わった後に気づく主人公の家族に関してのこと。
出兵時、振り向きもしなかった家族。
戦地で生き残った女と赤ん坊。
なぜ主人公はあれほどまでに全力で伝令をしようとするのか、その本当の目的は。
そして帰りたくなかったはずの家庭の写真を見て冒頭と同じように木に腰掛ける主人公の顔。
帰ろう。
そう心から思わせる確かな傑作でした。